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Firefox 3 の修正内容のご紹介 その1 — IME の状態管理の改善

開発の中野です。これから数回、 Firefox 3 で修正できた項目についていくつか紹介させて頂きたいと考えています。

Firefox 3 は Firefox 2 のリリース時とは違って、バックエンドの Gecko と呼ばれるレンダリングエンジンが大幅に改良されています (Firefox 2 の Gecko は Firefox 1.5 からのマイナーチェンジでした)。ですから、Firefox 3 は Mozilla Japan が初めて開発に本格的に関わった最初のリリースとなります。そのため、日本では不満の多かったバグ (不具合) に対する修正がいくつもなされています。もし、これを読まれている方や、これから紹介させて頂くバグが原因で Firefox 2 を使っておられない方がいらっしゃいましたら、是非、近日リリースされる Firefox 3 をお試しいただければ幸いです。

第一回目の今回は日本語入力には必須である IME (Mac では IM や TSM と呼ばれています。商品名ですが、ことえり、と言った方が分かりやすいかもしれません) の改善について紹介させて頂きます。

Gecko は Firefox 2 まで、どのような状態であっても IME が常に使えるように設計されていました。そのため、例えばパスワード入力欄で IME が有効だったために再入力が必要になってしまったり、 IME が有効だったためにキーボードのスペースキーでページをスクロールできない、といった苦情が多く寄せられていました。おそらく、あなたも一度はこのバグで、イライラさせられたことがあるのでは無いでしょうか?

Firefox 3 の Gecko 1.9 では IME の状態を、その時の状況に応じて、変更できる様に抜本的な修正を加えました。これにより、 IME を使う必要がある局面、例えば何らかのコメントを書こうとする場合にエディタにフォーカスがあるような時はこれまで通り IME が使えますが、それ以外の場合 ― パスワード入力欄にフォーカスがある場合や、エディタがフォーカスを持っていない場合 ― には IME が自動的に無効になるようになりました (IME が無効な状態とは、IME が単にオフになるのではなく、IME をオンにすることができない状況を意味します)。

これにより、Firefox 3 は他のソフトウェアと同じ感覚で文字を入力したり、ショートカットキーが使えるように修正されています。もちろん、Windows 版だけではなく、Mac 版と Linux 版でも修正されていますので、ご期待ください。

『是非お試しください』と言えるような新機能ではないのですが、きっとこのバグに苛立たされていた方は Firefox 3 から Firefox 2 に戻ることができなくなるぐらいに気に入って頂けると思います。

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