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パーソナライズとプライバシーの尊重

Mozilla はその使命として、人々が自分のオンライン生活を自分でコントロールでき、人々が尊重されるインターネット体験を提供しなければならないと考えています。誰かを尊重するということは、その人のプライバシーを尊重するということでもあります。Mozilla は、「人々がすべてを承知している状態」という原則を目指しています。つまり、ある人についての情報を収集するときには、本人がそのことを承知しており、収集した情報はその人のためになる方法で利用される、という状態です。人々は情報がどのように収集され、利用されるかということを知っているべきです。また、自分の個人データを提供する代わりに受けるサービスが適正であるかどうかを、一人ひとりが判断できるべきです。それを実現するのは、特に便利さや使いやすさとの兼ね合いを考えると難しい場合があります。人々は、頻繁にプロンプトが表示されたり選択に迷ったりすることのない、すばやく合理的なユーザ体験を期待しているからです。しかし Mozilla は、この理想的な状況の実現に向けて常に努力しています。

Mozilla は、現在の Web エコノミーのエコシステムに参加して積極的に活動する組織です。人々が楽しみ、恩恵を受けているコンテンツや情報の多くは、デジタルマーケティングやスポンサーから資金提供を受けています。これは合法的なビジネスモデルです。ただし、こうしたサービスを提供するために個人データを収集するときは、消費者を尊重し、本人の同意を得たうえで収集すべきだと Mozilla は考えています。商業は、ユーザが自分の関わる取引を理解してこそ、最もうまくいくものです。お客様との長期にわたる関係は、信頼の上に築かれます。

Mozilla は、ユーザが自分の個人情報に誰がアクセスするのか、その情報を誰と共有するのかを知ったうえで、パーソナライゼーション、つまり広告、コンテンツ、推奨事項、サービスなどをカスタマイズできるようにしたいと考えています。その実現を目指して実験的な試みや革新を進めていくことが、主要な Web ブラウザのプロバイダであり、今や OS の開発者でもある Mozilla の役目です。あらゆる人々の貢献を歓迎するオープンソースプロジェクトの Mozilla としては、建設的なアプローチの提案や Mozilla とのオープンな共同作業など、この分野のすべての人々からの支援をぜひお願いしたいと思っています。

以下は、プライバシーに配慮したパーソナライゼーションを目指して Mozilla が現在進めている活動のほんの一例です。

Persona は Web 向けの個人認証システムです。これを利用すると、ユーザは Web 上でのログインを自分でコントロールできます。特定のサービスに提供する個人情報を自分で選択できるのです。具体的には、自分の職業、個人情報、居住地域などの情報を管理できます。

Do Not Track 機能は、行動ターゲティング広告の配信などを目的とした第三者による追跡を拒否するユーザの意思を、Web サイトに伝えるものです。そうすることで、ユーザは自分自身に関する情報をどのように扱ってほしいかを示すことができます。これには多くのメリットがあります。Firefox のユーザは Do Not Track 機能を積極的に有効にして、自分が明示的にこの機能を選択したことをきわめてはっきりと示すべきです。また、Do Not Track 機能はどの特定の技術にも依存しないため、技術が進化してもその影響を受けずに機能し続けることができます。Mozilla は引き続き広範な関係組織と協力して、Web への Do Not Track の採用を推進していきます。

• 第三者のクッキーポリシーを評価して、パーソナライズされた広告と、ユーザの同意を得ずに Web 全体で行われるユーザの追跡との適切な兼ね合いを探っています。たとえば、Firefox の試作バージョンでは本人と第三者がクッキーを設定でき、そのクッキーが Firefox に保存されてドメインを確認できます。しかし Firefox が保存したクッキー一覧の中にないドメインを持つ第三者のクッキーは、デフォルトでは拒否されます。Mozilla は現在、業界全体のさまざまな関係組織と協力して、こうした方法や他の方法の評価を進めています。

ユーザのプライバシーを尊重しながら、ユーザに喜んでもらうことは可能なはずです (もちろん、適切なタイミングで適切なサービスが提供されるのは嬉しいことです)。Mozilla は引き続き、ユーザが自分の Web 体験を自分でコントロールする新しい方法を試みて評価を行っていきます。皆さんも、ぜひこのビジョンの実現に向けた Mozilla の活動に参加してください。さらに新しい情報についても、近日中に公開の予定です。

[これは米国 Mozilla のブログ記事 Personalization with Respect の抄訳です。文中リンク先は英語となりますのでご了承ください。]

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