Mozilla Japan ブログ

Mozilla、Firefox、Thunderbird の最新情報をお伝えします

個別記事アーカイブ

次の章に向けた準備

Firefox OS の将来を見据えて

本日、Mozilla は経営陣の変更を発表します。これは、Mozilla がモバイル分野への転向を促進し、これまで築いてきた基盤を生かして前途に広がるチャンスをつかむ取り組みをさらに加速させるためのものです。

Mozilla の出発点

Mozilla は常に、Web は境界や制限に縛られることなく誰もが情報にアクセスしてコミュニケーションし、創造し、共同作業ができる場所であるべきだと考えてきました。

Firefox は 2004 年にデスクトップコンピュータ向けとして発表されましたが、その当時、Web は独自仕様を提供するベンダーに牛耳られていました。Mozilla は Mitchell Baker や Brendan Eich らのリーダーシップのもと、初めてユーザが自分の体験を自分でコントロールできるようにしました。また、公共の資産としての Web の未来を築くために貢献し、Web をオープンな標準技術に基づくプラットフォームとして革新を生み出す活動に取り組んできました。

モバイル分野への転向

2010 年には、デスクトップは重要なターゲットプラットフォームではあるものの、将来はモバイルが重要になるということが明らかになりました。また、Web をプラットフォームとして活用することで、人々がつながる体験を自分が主体的に管理し、革新を生み出す潜在的な可能性を開くことができる機会もありました。

Mozilla を率いてこの目標を達成するための枠組みを確立するために、2010 年 10 月、モバイル分野で豊富な経歴を持つ Gary Kovacs が CEO として Mozilla に加わりました。その後 2 年半の間に Mozilla が次のような成果を達成してきたことを、私たちは大変誇らしく思っています。

モバイルの DNA を組織内に深く根付かせた Mozilla は、Firefox OS、HTML5 アプリ、Android 版 Firefox を発表するとともに、グローバルな運用形態を構築して市場の成長を支援してきました。

市場と競合企業のスピードに合わせて製品を提供してきました。デスクトップ版 Firefox は、より高速で安全で安定性が高く、進化も速い製品です。また、Persona、Sync、アプリマーケットプレイスなどの重要なサービスを発表し、新しいパートナーシップを拡大しました。

SOPA/PIPA、DNT などに関する国政についての議論では、消費者擁護の主張に信頼が寄せられました。

Mobile World Congress 2013 では、Firefox OS に関する数々の計画を発表し、幅広い業界の支持を得るとともに 20 社以上のパートナーが Firefox OS 対応デバイスを市場に投入することを表明するなど、Mozilla が今や完全にモバイル分野で活動する組織であることを世界に示しました。

将来に向けた再編

堅固な基盤が確立された今、Mozilla は世界中のパートナー各社と共にモバイルデバイスを発表し、心が躍るような次の段階に入ろうとしています。また、今後数年間に新たにオンラインでつながる次の 20 億人の人々のためにインターネットの自由を守る、という使命を改めて掲げ、その実現に取り組もうとしています。

こうした次の章に備えるため、Mozilla Corporation は経営陣の変更を発表します。

  • Gary Kovacs は個人およびチームとして設定した目標と目的を達成したため、今年後半に CEO を退任しますが、その後も取締役に留まり、引き続きビジョンを示し、リーダーシップを発揮していきます。後任者の選定は即時開始されます。
  • Mitchell Baker は職務を拡大して Mozilla の会長 (Executive Chair) となり、Mozilla の日常業務により深くかかわることになります。今後は、組織や個人の貢献者が必要とするツールを提供して有意義な貢献を可能にし、Web の潜在的な可能性を引き出すための取り組みにも力を入れていきます。
  • Brendan Eich は、引き続き最高技術責任者兼エンジニアリング担当シニアバイスプレジデントとして幅広い職務をこなし、Mozilla の製品およびプラットフォームエンジニアリングチームを運営します。
  • Jay Sullivan はこれまで製品担当 SVP を努めてきましたが、今回、最高執行責任者に任命されました。引き続き Mozilla の製品戦略とロードマップを推進し、製品およびユーザ体験チームのリーダーとして Firefox OS プログラムを主導していきます。また、Mozilla の継続的な進化と成長を推進するための幅広い職務も担います。
  • Harvey Anderson は、ビジネスおよび法務担当 SVP に任命されました。この新しい職務のもとでアプリマーケットプレイスイニシアティブを監督し、引き続きモバイルおよび戦略的パートナーシップ、国政関連業務、法務の責任者を務めます。また、会社秘書役の職務も継続します。
  • Li Gong は、モバイルデバイス担当シニアバイスプレジデントに任命されました。Firefox OS 対応デバイスのパートナーとの業務や、パートナー向けの製品やサービスの提供とサポートなど、Firefox OS の導入を推進するためのグローバルな業務の責任者を務めます。アジア地域担当社長を兼務し、日本を除くアジア地域で Mozilla の存在感を高める任務を担います。中国および台湾の子会社の CEO としての職務も継続します。

Mozilla は、オンラインでつながる次の 20 億人の人々のために Web の力を最大限に引き出すことができる独自の立場にあります。そして公益を重視する Mozilla の姿勢は、今後も Mozilla が誰もが活躍できるオープンで中立的な場としての Web に投資を続け、世界中の民間企業と個人の双方に創造と革新の機会を提供できることを意味しています。Mozilla はこれからも引き続き、この独自性を尊重し、Web エコシステムに望ましい変化をもたらす触媒としての取り組みを広げることに力を入れていきます。

参考情報

  • Gary Kovacs のコメント: 「この 2 年半は、Mozilla が進化し急成長するために非常に重要な時期でした。私はチームとして成し遂げた成果を大変誇らしく思っています。次の 20 億人の Web ユーザの力を強化するために、Mozilla はデスクトップとモバイルの世界に大きな進歩をもたらし、市場のスピードに合わせてリードする能力も大きく向上させてきました。このように堅固な基盤と強力なチームが確立された今こそ、私が移行計画を発表し、経営陣の能力について信を問うのにふさわしいタイミングです。私は、Mozilla がこのように急成長を遂げた時期にこの組織を率いるという特権を与えられたことを嬉しく思っており、今後も Mozilla がモバイルの将来に影響をもたらすための活動を主導していくことを楽しみにしています」。
  • Mitchell Baker のコメント: 「Gary のリーダーシップは、Mozilla がモバイル分野についての展望を掘り下げ、この分野での Mozilla の能力を開発するために非常に重要でした。Mozilla がこのような進化を遂げる時期にプロジェクトに多くの貢献をしてくれたことについて、Gary にお礼を申し上げたいと思います。Mozilla には、Web の歴史に次の章を書くために私たちを導いてくれる非常に強力なチームと組織がある、と私は考えています。そして、Mozilla は今後もその独自性と非営利という核となる姿勢を尊重し、パートナーやコミュニティと共に新たな方法で成長していきます」。
  • Mitchell Baker のブログ投稿
  • Mozilla プレスルーム

[これは米国 Mozilla のブログ記事 Gearing up for the Next Chapter の抄訳です。文中リンク先は英語となりますのでご了承ください。]

前後の記事

前の記事: Firefox ベータ版で新しいソーシャルプロバイダのテストが可能になりました
次の記事: 「Mozilla Hackathon (ハッカソン) 2013 春」 開催のご案内