Mozilla Japan ブログ

Mozilla、Firefox、Thunderbird の最新情報をお伝えします

最新の記事

Mozilla の最新情報は今後 Medium から発信いたします

Mozilla 関連情報や国内イベント情報、インターネットやウェブに関する情報について、これまで Mozilla Japan ブログから発信させていただいておりましたが、このたび、情報発信のプラットフォームを Medium に変更することとなりました。

今後は、日本で活動しているコミュニティメンバーとより連携を深めつつ、多岐にわたる情報を Medium 経由でお伝えしていく予定です。

現在こちらのブログをブックマーク頂いている皆さまや、RSS リーダーなどで購読いただいている皆さまには、大変お手数ではありますが、以下 URL の Medium サイトを今後は、ご購読いただければと思います。

なお、ライブブックマーク (RSS) でご購読いただく場合は、こちらのフィードをご利用ください。

Firefox Focus が日本語を含む 27 カ国語でご利用いただけるようになりました

[ この記事は米国 Mozilla Blog の記事 "Firefox Focus Now Available in 27 Languages" の抄訳です。]

「国際データプライバシーデー」まであと少しとなった本日、Mozilla が提供しているプライバシーに特化したブラウザー「Firefox Focus」が、27 カ国語でご利用いただけるようになりました。これは世界中の Mozilla コミュニティのメンバーが力を合わせ、短いスケジュールの中、急いでローカライズを間に合わせてくれたおかげで可能になったことです。これにより全世界に渡って数十億人が、 Firefox Focus を使って痕跡を残さず、情報の機密性を守りながらブラウズできるようになりました。

本日アップデートが公開される Firefox Focus は、ユーザーのブラウジングの自由を守る Mozilla の継続的な取り組みの一部です。 Firefox Focus の当初のリリース後、閲覧履歴をワンタップで削除できるプライベートブラウジングに、大きな需要があることがわかりました。リリース後、数百万に及ぶ検索が Firefox Focus で実行されましたが、この体験を全ユーザーの母国語でも利用できるようにしたいという想いから今回のアップデートに至りました。

Firefox Focus のホーム画面Firefox Focus のホーム画面

Firefox Focus の設定画面

Firefox Focus の設定画面

ウェブのインクルーシブネスとコミュニティを何よりも大切にしている Mozilla にとって、これは当然の成果だと思っています。ですので、日本語、アラビア語、アゼルバイジャン語、チェコ語、ウェールズ語、ドイツ語、英語(米国)、エスペラント語、スペイン語(地理)、スペイン語(スペイン)、フランス語、ハンガリー語、インドネシア語、イタリア語、カザフスタン語、オランダ語、ポーランド語、ポルトガル語(ブラジル)、ロシア語、ソンガイ語、スロバキア語、スウェーデン語、トルコ語、ウクライナ語、簡体字中国語、繁体字中国語、その他様々な言語でプライベートブラウジングをしたい場合でも、安心してお使いいただけます。そして、決してこれで終わりではありません。対応言語は今後も追加していく予定です。

Mozilla ではブラウジング体験をカスタマイズ可能にすることに全力を注いでいます。そのため、 今回のアップデートで Firefox Focus のデフォルト検索エンジンを変更するオプションも追加しました。これは iOS 版、 Windows 版、 Mac 版の Firefox でも提供されているカスタマイズ性です。

広範囲に渡るユーザーリサーチの結果や Mozilla コミュニティから寄せられる多くのフィードバックによって、多くのユーザーが、トラッキングや不要な広告の心配をしなくてもよいブラウジング体験を求めていることがわかりました。これは多くのユーザーが Firefox Focus を選ぶ大きな理由でもあり、 Mozilla が Firefox Focus をつくった理由でもあります。そして、「国際データプライバシーデー」に先立ち、この「消去」ボタンを多くの人に届けられることは Mozilla にとっても光栄です。

今度もユーザーの声に耳を傾けながら、プライバシーを強化するためにさらなる機能を追加していく予定です。

Firefox Focus は App Store よりダウンロード可能です。

最新版 Firefox が本日リリース

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デスクトップ版および Android 版 Firefox の最新版を本日よりご利用いただけます。今回のリリースに含まれる新機能や変更点については、リリースノートページにてご案内しております。

なお、Mozilla や Firefox に関するニュースを近日中 (数週間以内) にご案内できる予定ですので、ぜひ、こちらのブログをチェックいただければと思います。

Firefox の各機能サポート終了予定(2017年)について

本記事では、Firefox が今年中にサポート終了を予定している各種機能についてまとめてお知らせいたします。

NPAPI プラグインのサポート終了

2017 年 3月、通常版 Firefox で Flash 以外の NPAPI プラグインのサポートを終了する予定です。なお、法人向けの延長サポート版(ESR)Firefox では 2018 年中頃までサポートを継続いたします。

これは、ブラウザーのパフォーマンスやセキュリティのためにプラグインの機能をウェブ標準の API に置き換えていく取り組みの一貫です。ビデオ再生、音声再生、クリップボード統合、高速 2D/3D グラフィックス、マイク・カメラの制御など、従来プラグインで実装されていた機能は既にウェブ標準 API でサポートされています。

また、2017年には、Firefox はウェブサイトが Flash プラグインのコンテンツを有効化するにはユーザーによる明示的なクリックを必要とする予定です。

Windows XP および Vista のサポート終了

2017 年 3 月、通常版の Firefox では Windows XP/Vista のサポートを終了する予定です。それ以降は XP/Vista ユーザーは自動的に ESR へと切り替えとなります。

現状 Firefox は、主要なブラウザーのうち Windows XP と Vista をサポートする唯一のブラウザーです。Microsoft 自身は Windows XP のサポートを 2014 年 に終了しており、Windows Vista のサポートも 2017 年 に終了します。サポートされないオペレーティングシステムは、セキュリティの更新を受け取れず、既知の脆弱性があり、使用するには危険な状態です。このようなオペレーティングシステム向けに Firefox を保守することは困難です。

Windows XP および Vista のユーザー向けのセキュリティの更新は 2017 年 9 月まで提供する予定です。しかし、これらのユーザー向けの更新には新機能が含まれません。私たちは、2017 年の中頃に、まだ Windows XP と Vista を使用しているユーザーに対して最後のサポート終了日をお知らせします。

従来型アドオンのサポート終了と WebExtensions への移行

Firefox はアドオンによって様々な機能の拡張が可能になっていますが、従来型 (XUL 形式) のアドオンはブラウザー内部のアーキテクチャと相互に依存しており、バージョンアップ時に互換性が保てないことや、ブラウザーの大幅な実装変更が出来ないといった課題がありました。

Firefox では、昨年には UI の応答性を高めるためコンテンツのプロセス分離を導入し、今年は次世代ブラウザーエンジンとして研究開発を続けてきた Servo の成果を Firefox に統合しパフォーマンスと信頼性を比較的に向上させる Project Quantum で、ブラウザー内部の大幅なアーキテクチャ刷新を続けています。

これらを実現を後押ししつつ、Chrome, Opera, Edge など他のブラウザのアドオンと同一の API をサポートしてブラウザーアドオン開発者のエコシステムを拡大していくため、Firefox では WebExtensions というシステムの導入を進めてきました。

2017 年 4 月の Firefox 53 リリース以降、アドオンサイト (AMO)では従来型のアドオンの受け付けを終了し、2017 年 11 月の Firefox 57 リリース以降、従来型のアドオンのサポートを終了する予定です。

Mozilla から初となる「インターネット・ヘルスレポート」が公開されました

本日 (米国時間 1/19)、米国 Mozilla より、"Internet Health Report" という報告書の最初のバージョン (v_0.1) が世界に向けてリリースされました。

Mozilla は、オープンソースソフトウェアの開発や ウェブリテラシー教育、セキュリティやプライバシーの啓発活動など、さまざまな分野でインターネットが全ての人にオープンで有益なリソースとなるよう日々活動しています。

そして今日、あらゆるデバイスが接続され、私たちの生活になくてはならないインフラとなっているインターネットが「健康な状態」にある事は、非常に重要になります。

本日公開となった Internet Health Report は、インターネットの「健康状態」を、以下の 5 つの視点から分析し、定期的にレポートを刊行するオープンなプロジェクトです。

Open Innovation - How Open is it?

「オープン」とは、誰もが許可なく自由にウェブ上で発信したり、発明したりできることを意味してしています。ウェブを動かすテクノロジーは、透明性が高く、誰もがどういった技術なのか理解できることが重要です。

Digital Inclusion - Who is welcome online?

全ての人がインターネットへのアクセスについて平等な機会を持ち、自身の生活や社会の向上のためにインターネットを使えなければなりません。

Decentralization - Who controls the Internet?

ディセントラリゼーションとは、インターネットが多数によってコントロールされる状態です。つまり多数のデバイスがオープンなネットワークで相互接続されている状態で、誰か一人が中央でその全体を所有したり、コントロールできない状態が健康なインターネットです。

Privacy and Security - Is it safe and secure?

インターネットのセキュリティと安全性は全ての人に影響します。自分のデータがインターネット上でどうなっているかを知り、そのデータの使われ方を自分でコントロールする能力を身に着ける必要があります。

Web literacy - Who can succeed online?

全ての人が、デジタル世界において「読み」、「書き」、「参加」することで、より多くの人々がウェブを使うだけでなく作る側に回り、ウェブを形作り、守っていくことができます。そのために必要なスキルを得ることが重要です。

今回公開されたレポートは、プロトタイプにあたる「バージョン 0.1」です。Mozilla では、このレポートの公開をきっかけに、多くの人が「インターネット・ヘルス」について建設的な議論に参加したり、実際に行動したりすることを目指しており、レポートその物も、今後世界中からフィードバックを集めながらオープンソーススタイルで更新し、11 月には「バージョン 1.0」を公開する予定です。

現時点では、全 40 ページの英語のレポートですが、日本のインターネットユーザーにとっても重要で興味深い内容となっています。今後内容のアップデートだけでなく各国語へのローカライズも予定されていますが、まずはぜひ一度ご覧になって、感想や今後の進め方へのご意見などフィードバックを通して、この新しい試みにご参加下さい。

なお、日本の Mozilla 翻訳コミュニティでも、このレポートの翻訳の協力者を募る予定です。レポートの一部だけでも翻訳に参加してみたいという方は、翻訳コミュニティの Google Groups にぜひご参加ください。

詳細情報

Mozilla の新しいロゴが発表されました

Mozilla では、昨年よりロゴをはじめとした ブランドアイデンティティーの再検討 を行ってきました。オープンにフィードバックを集めながら、コンセプトやデザインのプロトタイプについての検討を重ね、その結果として生まれた新しいロゴが、本日、米国 Mozilla より発表されました。

Mozilla はインターネットがオープンで、誰もがアクセスでき、健全でグローバルな公的資源であり続けるための活動に全力で取り組んでいます。その姿勢を Mozilla のロゴにも示したいという考えのもと、インターネットを表す言葉「://」をブランドアイデンティティーに取り入れデザインしました。

このロゴの精神や、今後の利用に関する詳細は、Open Design Blog でご紹介しています。

iOS 版 Firefox: メールアプリを選べるようになりました

[米国 Mozilla ブログの記事 "Firefox for iOS Users Can Now Choose Their Favorite Email Apps" の抄訳です]

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Eメールは、私たちのオンライン生活の重要な部分を占めます。本日公開されたアップデートにより、iOS 版 Firefox で閲覧中のページからメールを送る時に、お気に入りのメールアプリを選択できるようになりました。

アップデートにあたっては、多くの Firefox ユーザーが利用しているメールアプリを調査し、利用できるアプリのリストを作成しました。これによって、ウェブページ内のメールリンクをタップするだけで Microsoft Outlook 、 Airmail 、 Mail.Ru 、 MyMail 、 または Spark のアプリより簡単にメールを送信できます。またメール内のリンクを Firefox で開くようにアプリを設定することも可能です。

利用するメールアプリの選択は、 iOS 版 Firefox 内の設定より行なえます。またメール内のリンクを iOS 版 Firefox で開くようにするには、メールアプリ側の設定メニューより Firefox を選択することで可能になります。

今回追加された機能によって、スマートフォンをよりシンプルでスマートに活用できるようになります。 Firefox を通して自由なインターネットを体験していただきたい、という私達の想いからつくられた機能です。最新版の iOS 版 Firefox はこちら からダウンロードいただけます

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最新版 iOS 版 Firefox の最新機能を体験して、ぜひ感想をお聞かせください。それでは、最新版 iOS 版 Firefoxをお楽しみください。

Firefox Focus - iOS 向けの無料で簡単に使えるプライベートブラウジング専用ブラウザ

[ 以下は、米国時間 11 月 17 日、英語圏の iOS ユーザー向けに Mozilla からリリースされた Firefox Focus を紹介するブログ記事 "Introducing Firefox Focus - a free, fast and easy to use private browser for iOS" の抄訳です ]

本日、Mozilla は、無料で簡単に使えるプライベートブラウジング専用ブラウザー Firefox Focus を iOS 向けにリリースしました。

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デジタルライフをコントロールするのが日に日に難しくなっている昨今、インターネットへの信頼を失ってしまったユーザーも多いのではないでしょうか。自分のオンライン上での行動が、端末やアカウントを切り替えてもつきまとっている様に感じる人もいるかもしれません。これに加え、ウェブサイトを埋め尽くす余計な情報量には、息苦しささえも感じてしまいます。こうした理由から、 Mozilla は Firefox Focus をつくりました。Firefox Focus は、デバイス上にウェブの閲覧履歴を残したくない時にお使いいただけます。他人に知られたくない情報を検索しているような時、例えば、プロポーズ用の指輪を探していたり、ラスベガスへの現実逃避を計画していたり、高級品の葉巻を買おうとしていたりする時。あるいは、ただ単にタブもメニューもポップアップも存在しない、シンプルで高速なウェブブラウザーをお探しかもしれません。

Firefox Focus は、そんな方にぴったりなブラウザーです。

Firefox Focus は、ウェブ上であなたを追跡する多くのサイトの追跡機能 (トラッカー) をデフォルトでブロックします。プライバシーやクッキーの設定を変更する必要はありません。ブラウジング後にはワンタップで全ての痕跡を消去できるので、何も心配することなくウェブの閲覧が出来ます。消去するためにメニューを開く必要すらありません。

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追跡機能は、モバイルでウェブを閲覧する際の速度低下の大きな原因のひとつです。 Firefox Focus は、こうした追跡機能をブロックするため、多くのサイトでページの読み込み速度が速くなったように感じられることでしょう。また、中には、追跡機能なしでは使用できないサイトもあります。そのようなサイトによる追跡を許可し、閲覧を続ける場合は、該当のサイトを Firefox または Safari で簡単に開くことができます。

Firefox Focus についての皆さんからのフィードバックをお待ちしています。

Firefox Focus は、App Store よりダウンロード可能です。なお、Firefox Focus は、Safari 向けのコンテンツブロッカーアプリとしても引き続きお使いいただけ、 Safari と Firefox Focus の両方でプライバシー保護機能を使用できます。

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補足情報: Firefox Focus は、現在、英語版のみの提供となります。

最新版 Firefox が本日リリース

デスクトップ版および Android 版 Firefox の最新版を本日よりご利用いただけます。今回のリリースに含まれる新機能や変更点については、リリースノートページにてご案内しております。

なお、Mozilla や Firefox に関するニュースを近日中 (数週間以内) にご案内できる予定ですので、ぜひ、こちらのブログをチェックいただければと思います。

詳細情報

インターネットの安全を守る上での Mozilla の役割: 皆さんのご協力も必要です

この記事は米国 Mozilla Blog の記事 "Our Role in Protecting the Internet -- With Your Help" の抄訳です。

インターネットのセキュリティは利用者全員で守っていく必要があります。先日の記事 でこの事について触れましたが、今回は、このテーマを掘り下げ、インターネットを守る上での Mozilla の役割、そしてその役割がインターネットの他の関係者との相互の協力によって成り立っていることについてお話しします。


安全なブラウザ-づくり

Firefox はインターネットの重要な一部分であり、それを守ることは Mozilla の役割です。世界には、Firefox を通してウェブにつながっているユーザーが何億人も存在します。Mozilla が Firefox に搭載するユーザーに寄り添ったセキュリティ機能を、こんなにも多くの方々に使っていただいていることは喜ばしい反面、たったひとつの脆弱性によって、こうしたユーザーのコンピューターやスマートフォンが悪意のある者に乗っ取られてしまう危険性もあります。そのため、Mozilla では、Firefox の脆弱性をいち早く発見し、修正することに多くの労力を注いでいます。 社内のエキスパート集団によるチェックに加え、 Mozilla では、長い歴史を誇る バグ報奨金プログラム を通してセキュリティ研究者が脆弱性を報告できるしくみを用意しています。今年だけでも Mozilla 外の研究者によって Mozilla 社内では発見できなかった130 以上もの深刻な脆弱性が報告されました。このセキュリティ研究者のコミュニティ無くしては、今ほど安全な Firefox は存在しません。

また Mozilla では、こうした脆弱性を未然に防ぐための基礎技術にも投資しています。 たとえば プログラミング言語 Rust は、特定の種類の脆弱性が起こり得ない設計になっており、かの悪名高き Heartbleed もこれに含まれます。Rust では、こうした脆弱性をはらんだプログラムを書くことが、そもそも不可能となっています。 Rust は Mozilla 発のプロジェクトですが、1500 を超える貢献者 の存在なくしては、これほどまでに早く成熟することはなかったでしょう。 Firefox 内でも Rust の使用が始まっています が、Mozilla コミュニティでは、既に Rust を使って Unix の 中心的ユーティリティ を置換する Doom Renderer や、すべて Rust で書かれた OS までも が作られています。これらはすべて、多くの脆弱性に対する安全性を備えています。

また Mozilla では、Tor Project との密接な協力を通し、ブラウザーの安全性に貢献しています。 Tor Browser とは、Firefox から派生しプライバシー機能が強化されたブラウザーで、ユーザーは匿名性を保ちながらウェブを閲覧することができます。たとえば SecureDrop というシステムを使えば、情報提供者が身元情報を守りながら記者に Tor を通じて書類を送信することができます。Tor コミュニティの貢献によって生まれたアイデアやコードの数々は、貴重なもので、Mozilla としても大変感謝しています。彼らがウェブにもたらしたイノベーションを Firefox に統合し、ユーザーにさらなるプライバシー機能をできるように密接に協力しながら進めています。


安全なウェブに向けて

ウェブはもちろん Firefox だけで構成されているわけではありません。 さまざまなコンピューターや人、企業が協力しながらネットワークを作ることによって出来上がっています。 Mozilla のセキュリティエンジニアは、こうしたウェブエコシステムの各プレーヤーと協力しながらウェブ の基礎技術の安全性を向上できるように努めています。

こうした活動の一部として、Internet Engineering Task ForceWorld Wide Web コンソーシアム といった標準化団体との協働を行なっています。これらの組織は、ブラウザベンダーやサーバーオペレーター含め、ウェブをより良くしたいと考えるメンバーが集う場所でもあります。 Mozilla のスタッフも先導して 暗号化通信の基本システムウェブログイン のセキュリティ向上の取り組みを行っています。しかしこれらの活動は、他の組織とコラボレーションがあってこそ初めて成功します。 一例を挙げると、先日、 Mozilla は Google、Facebook、Cloudflare、INRIA を含む各社と共に、最新の暗号化プロトコルのテストや、各ベンダーが協力して作る様々なシステムのデモンストレーションを実施しました。

Mozilla が担うもうひとつの役割として、 Mozilla Root Certificate Program の維持があります。これは、 Firefox を含む多くのオープンソースプロジェクトが利用している、信頼できる電子証明書を見分けるためのツールです。電子証明書の信頼性を担保することは、ウェブ自体の信頼性を保つことに直結します。 その中で Mozilla は、唯一、完全オープンなコミュニティベースで信頼できる証明書を判断するプロセスを有するブラウザです。

そして最後に、エコシステムに穴がある事に気づいた際、その穴を埋めることも Mozilla の一つの役割です。たとえば数年前、 私たちは証明書を取得するプロセスの煩雑さやコストが、ウェブのセキュリティの足を引っ張っていることに気づきました。そこで Mozilla は、EFF、Cisco、Akamai やその他多くの企業と協力して Let's Encrypt というウェブサイト向けに無料で自動的に証明書を発行する認証局を立ち上げました。立ち上げ後 1 年足らずで、 1400 万以上ものサイト に証明書を発行しました。これらのほとんどは、それ以前は証明書を持っていないサイトでした。これは、業界内の各パートナーやコミュニティからの貢献者の協力があってこそ達成できた偉業です。


セキュリティのコミュニティをつくる

インターネットのセキュリティ向上が直面する課題は、決して技術的な挑戦だけではありません。正しい知識を持って、インターネットセキュリティ向上のため、政府や企業が良い判断を下す手助けができる人々のコミュニティが必要となります。そのため、Mozilla では今年、暗号化通信についてより多くの人々に知ってもらうためのキャンペーン を打ち出しました。そして現在も、継続してインターネット上で安全性を守るの方法について普及活動 を行なっています。

また、仲間であるオープンソースコミュニティへの援助を通じて、彼らのプロジェクトのセキュリティ向上にも貢献しています。 Mozilla Open Source Support (MOSS) プログラム は、対象プロジェクトのセキュリティを向上させるために、今年、 80 万ドル以上の寄付を行なっています。 MOSS 助成金は、これまで Tor、TAILS privacy-enhanced operating systemCaddy HTTP server (自動的にセキュリティをて提供するサーバー) 、複数のセキュリティ監査 をはじめ、その他多くのオープンソースセキュリティプロジェクトに支援を行いました。


全員の協力が必要です

ご覧いただいた通り、 Mozilla が行っているセキュリティに関する取り組みは、独立した研究者、政府機関、同業他社パートナー、ユーザー含め、セキュリティに関わる全ての人が行っている取り組みと深く関わりがあります。そしてどのメンバーも、全体に欠かせない一部です。ひとつでも欠けてしまえば、ウェブの安全性は損なわれます。 Mozilla のセキュリティチームの活動に興味を持った方は、ぜひ私たちの Security Blog をフォローしてください。